さて、今回はオーストラリアの高校のいじめ問題について紹介していきたいと思います。
私は高校3年間をオーストラリアのゴールドコーストで過ごしていたのですが、私のいたオーストラリアの高校では日本のようないじめがありませんでした。
実際に、オーストラリアで過ごしていた周囲の友人達に話を聞いても、「アジア人だからたまにバカにされることはあるけど、日本みたいに誰かをターゲットにして執拗にイジメるっていうのはないかもね」という意見が多かったです。
では、オーストラリアの高校ではなぜいじめが起きにくいのか?というのを日本の学校教育との違いなどを踏まえて解説していきたいと思います。
【日本との大きな違い⑴:クラス制度】
オーストラリアにはクラスがない
日本とオーストラリアを比較した際に、私が最も違うと感じたのはオーストラリアの高校はクラス制度がないということです。
私達は日本で生まれ教育を受けるとなると、幼稚園から高校までの10年以上もクラスに所属し続けます。
小学校であれば2年間同じクラスというのも珍しくはないでしょう。
そして、朝のホームルームから始まり、全員で机を並べてイスに座り授業を受けたり体育祭イベントなど1年間ずっとそのクラスメイトと共に集団で行動します。
しかし、オーストラリアではそこが決定的に異なり、オーストラリアにはクラス制度という概念がないのです。
では、どうやって授業を受けるの?といった疑問を持たれた方もいるかも多いでしょう。箇条書きになりますが、授業やホームルームなどの特徴を紹介していきます。
・朝のホームルームは3学年合同
・授業は完全選択式
・授業を受ける席は毎日バラバラ
・体育祭はマラソンなど個人種目のみ
・部活動は半年ごとにチェンジ
といったようにオーストラリアの高校ではクラスや部活動がなく、日本のように小さな集団で学校生活を送ることはないのです。
【実例】クラスがあることによるいじめ問題
実際に私が通っていた日本の学校ではクラス制度が原因となり、いじめ問題が起きていました。
私の学校では体育祭が毎年行われていて、クラス対抗でリレーや大縄跳び、障害物競走など様々な種目で合計得点を競い合って順位付けを行っていました。
もちろん、体育祭ではクラス全体が一致団結しどのクラスも優勝を目指して頑張るわけですが、クラスメイトの中には運動が苦手で少なからず足を引っ張る人がいます。
私の学校では、そういった人達がいじめの標的となっていました。
「体育祭、当日お願いだから休んで欲しい」
「ケガしてくれないかな?」
「とりあえず休む前提で進めるから練習には参加しないでね」
ここで紹介した心無い暴言は、ほんの一例にすぎません。
体育祭の練習が始まってから、授業中に運動神経の悪い子にモノを投げる行為が発生するなど、体育祭というイベントが引き金となっていじめが始まったのです。
クラスがないことでいじめは起きにくい
皆さんも、クラスという小さな集団にいたことで、自身がいじめられた経験、もしくはいじめられている人の存在を一度は見たことがあるのではないでしょうか?
先ほどの体育祭が良い例ですが、人は自分より人間や、劣っている人をみると攻撃してしまう生物です。
なので、日本の高校のように40人ぐらいが一つのクラスという閉ざされた空間に一年間ずっといるということは、いじめが起きてしまっても逃げ場がないのです。
もちろん、高校の体育祭などはクラスで団結して優勝できたら非常に良い思い出にもなりますよね。私もオーストラリアの高校ではその点が少し物足りなさも感じたりもしました。ただ、クラスがないことによるメリットもかなり多いはずです。
オーストラリアの高校ではクラス制度がないため、授業も体育祭も個人で基本参加するためイジメというものは一切なかったです。
これは中々難しい問題だと思いますが、皆さんはどちらの環境の方が学生にとって良いと思いますか?
私はオーストラリアの高校の方が自由でのびのびしていて過ごしやすかったです。
【日本との大きな違い⑴:性格・考え方の違い】
日本人とオーストラリア人の考え方
日本人とオーストラリア人は性格や考え方の面で、大きく異なります。
何が最も違うのかというと、日本人は集団を好むのに対し、オーストラリア人は個人行動を好むという所です。
ここでいう、個人行動というのは決して友人と何か行動するのが嫌いというわけではありません。考え方の違いです。
では、それぞれを比較していきたいと思います。
日本人の場合
・集団行動を一番大事にしている
・チームプレーが得意
・上下関係がしっかりしている
・自分の考えを主張するのではなく多数派の意見に流されやすい
・少数派の意見は聞かない
オーストラリア人の場合
・自分の考えを持っていて、他人に流されたくない
・自分自身を貫きたい
・相手の意見もしっかりと聞き尊重する姿勢がある
・チームプレーで自己中心的な人も多い
・大人数での行動は苦手
集団vs個人
上記に述べたように、日本人とオーストラリア人では性格や考え方が大きく異なります。
日本人は集団行動が非常に得意であり、学校教育でもクラス制度を通して多くの人がそのスキルを身に付けています。
しかし、そこからはみ出す人やレールの上に乗れない人は、集団行動ができない人とみなされ、日本人は少数派を受け入れない考えを持っているので排除しようとしたり、自身の考え方を押し付けます。
これこそが日本でいじめが多い原因なのです。
日本では集団で行動することが最も美しいと考えられているので、いじめ問題はこの考え方が変わらない以上ある意味仕方がないとも言えます。
一方、オーストラリア人は一人一人が自分の考えを主張しようとするので、多数派少数派で分かれることはありません。
彼らは自己主張が強すぎることもあるので、高校時代のサッカー部では自己中なプレーが多くてやりづらいこともありました。
しかし、自分と意見の合わない人を攻撃しようと思うのではなく、相手の意見をまずは尊重しようとして意見を交換し合うという文化があります。
そういった考え方も、少数派を排除しようとせず相手を受け入れるため、いじめが起きにくいのではないでしょうか?
【まとめ】
いかがでしたでしょうか?
この記事では日本とオーストラリアの教育制度や考え方の違いを紹介しました。
勘違いしないで欲しいのは、オーストラリアにもいじめ問題は当然存在しています。
しかし、日本ほど頻繁に起きているものでもなく、いじめによる自殺者なども圧倒的に低いです。
日本という国で生きている以上、集団行動を基調としている文化があるので、いじめが起きてしまうのは仕方がないことだと考えます。
ただ、自分自身の意見が少数派だからといって間違っているわけではありません。
海外から見たら、あなたの方が世界のスタンダードであり、自分の意見や自分自身をしっかりと持っているということは、今後日本がグローバル化に対応していく上で必要な能力です。
日本の環境がどうしても辛ければ、海外に逃げてしまうというのも一つの手で、逃げ場のないクラスというものに縛られず、もっと広い視点で世の中を見て生きて欲しいと思います。