アイアンマンはマーベルコミックに登場するスーパーヒーローとして、2008年に製作された映画です。本作は、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のフェーズ1の最初の映画です 。
そして、アイアンマンでMCUは爆発的な人気を博し、2010年には『アイアンマン2』、2013年には『アイアンマン3』と2つの続編を生み出しました。
現在は映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』などが公開され、フェーズ4に突入しておりますが、今だからこそ映画『アイアンマン』を振り返る必要があると思います。というのも、シャン・チーの題名にもあるテン・リングスは実はアイアンマンにも登場しているのです。
映画『アイアンマン』公開から13年経った2021年、遂にその謎が解き明かされます。本記事ではそれらについて、徹底解説していきます。
コミック版から映画製作まで
コミック版の初登場
アイアンマンというキャラクターは、テールズ・オブ・サスペンス(後のキャプテン・アメリカ)#39(1963年3月)に初登場し、5年後にはアイアンマン#1(1968年5月)で自身のタイトル作品を出版しました。キャラクターは、作家兼編集者であるスタン・リーによって制作されました。
ロバート・ダウニー・Jrの起用
ロバート・ジョン・ダウニー・ジュニア(1965年4月4日生まれ)はアメリカ出身の俳優です。彼は、2008年に世界で最も影響のある100人に指名され、2013年から2015年までは、フォーブス誌のハリウッドで最も稼ぐ俳優として選出されました。
そんなハリウッドスターとして輝かしい経歴を持つ彼ですが、若い頃は薬物乱用などにより何度も逮捕されるなど、人生のどん底も経験している俳優なのです。
5歳から俳優として活躍
ダウニーJrは、1970年に父ロバート・ダウニーSrが手掛ける映画で5歳で俳優デビューしました。父も俳優として、多くの映画に出演しており、二世俳優として注目を浴びておりました。彼は、その後も10代の頃から様々な映画に出演し、1992年の27歳の時に、ダウニーJrはアカデミー主演男優賞にノミネートされBAFTA賞を受賞しました。
31歳で薬物により人生破滅
1996年から2001年まで、ダウニーJrはコカイン、ヘロイン 、マリファナなどの麻薬関連の容疑で何度も逮捕されました。彼は1999年の裁判で裁判官に、「父が同じく薬物中毒者なので、8歳の頃から薬物中毒たった」と語ったのです。
5年間の薬物乱用、逮捕、リハビリ、依存症再発を経て、ダウニーJrは薬物を完全に克服するために努力し、キャリアに戻る準備を始めました。
36歳の時キャリア再開 7年後に名俳優へ
ダウニーは2001年にリハビリ後の最初の演技の仕事に就き、徐々に俳優としての活動を再開しました。しかし、どの作品もあまりヒットすることがありませんでしたが、そんな時に彼の人生を大きく変えたのが映画『アイアンマン』への出演です。
アイアンマンは2008年4月30日から5月3日までの間に全世界でリリースされ、全世界で5億8500万ドル以上を売り上げる超大ヒット作となりました。その後も、MCUシリーズは波に乗り、世界中で愛されるマーベル映画シリーズの中でもダウニーJr演じるトニー・スターク&アイアンマンは最も人気のあるヒーローになったのです。
映画『アイアンマン』解説 ※ネタバレ注意
主人公はトニー・スターク
映画『アイアンマン』の主人公はプレイボーイの一面を持ちながら、先見の明がある天才発明家トニー・スタークです。彼は軍事防衛企業スターク・インダストリーのCEOで、物語は戦争で荒廃したアフガニスタンを舞台に始まります。スタークは会社の新製品ジェリコミサイルの試験を行うため、彼の友人のジェームズ・ローディ中尉(アメリカ空軍)と一緒にいました。
テン・リングスというテロ組織に誘拐される
そして、スタークは輸送車に乗っている間、テン・リングスというテロ組織の待ち伏せに遭い重傷を負い、そのまま誘拐され洞窟に閉じ込められました。スタークの心臓に破片が刺さる重傷を負っていましたが、同じく捕虜として捉えられていたホー・インセンによって作られた電磁石が、彼の心臓を守りました。テン・リングスのリーダーであるラザ は、スタークに自由を提供するのと引き換えに、ジェリコミサイルをテロリストのために作ってあげなければなりません。
鎧のスーツで脱出を試みる
しかし、ミサイルに取り組むふりをしながら、スタークとインセンは、スタークの電磁石に電力を供給するための、アーク・リアクターと呼ばれる強力な発電機を密かに製作します。そして、スタークによって設計された、鎧のスーツを作り始めます。
テン・リングスはスタークの脱出計画を発見すると攻撃を開始しますが、鎧のスーツを着たスタークは洞窟から抜け出し、先に脱出し致命傷を負ったインセンを見つけようと戦います。しかし、インセンはもう既に助からない状況でしたが、スタークに「命を無駄にせずに脱出しろ」と伝え亡くなりました。
激怒したスタークは洞窟を去り、テロリストの所持していたスターク・インダストリー製の武器を片っ端から燃やして、飛び去ります。脱出後、スタークは砂漠で墜落し、鎧のスーツはそのままバラバラに壊れました。
スターク・インダストリーは武器の生産をやめる
ローディ中尉を含む捜索隊に救出された後、スタークはアメリカの自宅に戻りました。スタークは記者会見を行い、今後一切の武器製造を行わないことを発表しました。その理由としては、インセンの死が大きく関わっていると思われ、自分の知らないところで製造した武器が悪者の手に渡り戦争が起こっているという事実を実際に見たからだと思われます。
スタークの父ハワード・スタークの古いパートナーであり会社のマネージャーでもあるオバディア・スタンは、今後の武器の製造中止は父の遺産でもあるスターク・インダストリーを台無しにしてしまうかもしれないとスタークに忠告します。
アイアン・スーツの改良
スタークは自宅の作業場で、数か月を費やしスーツの改良版と、より強力なアークリアクターを生成します。スターク・インダストリーズは武器の製造を中止したのにも関わらずジェリコミサイルなどの武器がアフガニスタンのグルミラで使われていることをニュースで見ます。そして、スタークはスタンによって武器が供給されていることを知り、さらに彼が社長の座を乗っ取ろうとしていることも知ります。
スタークはその事実に激怒し、改良したアーマースーツを身に着けてアフガニスタンに飛び、そこでグルミラの市民をテン・リングスから救いました。その後、スタークは米空軍のF22戦闘機2機に追われ逃げまといました。彼はローディ中尉に電話をかけ、攻撃の中止を依頼すると同時に自身がスーツを着用している張本人であると身元を明らかにします。
その間、テン・リングスはスタークのプロトタイプスーツの断片を集めます。テロリストのリーダーであるラザはスタンと会い、スタークとスーツを交換することを申し出ましたがスタンはそれを拒否し、ラザと彼の派閥を排除しました。そして、スタンがスタークインダストリーに戻ると、科学者たちに回収した残骸から新しいスーツを作るように命じました。
ペッパー・ポッツとコールソン
スタークは、テン・リングスに届けられた他の武器を捜索するため、アシスタントのペッパー・ポッツを送り込み、スタンのオフィスから会社のコンピューターシステムに侵入しました。ポッツは、スタンがテロリストに武器を供給している証拠を見つけましたが、それと同時にスタンがアフガニスタンでスタークを殺すためにテン・リングスを雇っていたことも発見しました。その後、ポッツはS.H.I.E.L.D.S.のフィル・コールソンと出会い、スタンの活動について彼に知らせます。
盗まれたアークリアクター
結局、スタンの科学者たちは、スタークのアークリアクターを複製することができず、スーツを完成させることはできないとスタンに説明しました。そのため、スタンはスタークの自宅で彼を待ち伏せし、ソニックテーザーを使って彼を麻痺状態にさせ、スタークの胸のアークリアクターを入手しました。
死ぬまで放置されそうになったスタークは、なんとか自分の研究室に這い回り、インセンと一緒に作った初期のアークリアクターを再び使うことで自分自身を救いました。そして、ポッツと数人のS.H.I.E.L.D.エージェントがスタンを逮捕しようとしますが、彼はアイアン・スーツを着ているため歯が立ちませんでした。
スタンとの戦闘
スタークが現場に駆け付けスタンと戦いますが、彼は最新のアークリアクターを奪われたため、フルパワーで闘うことができません。スタークはスターク・インダストリーの建物の上にスタンをおびき寄せ、そこにある大きなアークリアクターを稼働させるようポッツに指示します。そうすることで、スタンを気絶させるほどの大規模な電気サージを解き放ち、スタンと彼のアーマースーツを爆発させて、彼を倒しました。
I am Iron Man.
そして翌日、マスコミは昨日の戦いで注目を浴びたヒーローを「アイアンマン」と名付けました。エージェント・コールソンはスタークに夜の出来事とスタンの死を説明するフェイクストーリーを与え記者会見で説明するよう指示します。しかし、スタークは記者会見で、フェイクストーリーを語り始めますが、最終的に自分がアイアンマンであると発表したことで、世界中に衝撃を与えた所で映画は終わりました。
アイアンマン1作目と、アベンジャーズ/エンドゲームは、フェーズ1~3の最初と最後のストーリーになりますが、どちらも「I am Iron Man」というフレーズは非常に印象的ですね。
ストーリーに登場したいくつかの謎
テロ組織 テン・リングスの正体
映画『アイアンマン』の序盤でトニ・スタークがテロ組織であるテン・リングスに拉致されました。組織の名前と全体像は、後に映画『アイアンマン3』でアルドリッチ・キリアンのシンクタンクAIMによって分かりました。アルドリッチ・キリアンの支配下にあったイギリスの俳優トレバー・スラタリーは、テン・リングスのリーダー「マンダリン」であると誤って仕立て上げられました。そして、俳優トレバー・スラタリーは後にシーゲイト刑務所に投獄され、リーダーが逮捕されたにも関わらず、テン・リングスの活動は続いていたため、「マンダリン」は別にいると分かったのです。
リーダーの正体は映画『シャン・チー』で明らかに
つまり、真のマンダリンが別にいることが明らかになるのですが、その正体はなんと、2021年公開のフェーズ4の映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』で明らかになるのです。10年以上経った後にその正体が分かるなんて、マーベルの伏線は至る所に張り巡らされていることが伺えます。映画『シャン・チー』やマンダリンの正体については下の記事に記載しております。
アークリアクターとは
アークリアクターはスタークの父ハワード・スタークとアントン・ヴァンコが四次元キューブの力をコピーするために設計された動力源です。第二次世界大戦 中に四次元キューブのエネルギーがハイドラによって利用された後、ハワード・スタークはヴァンコと一緒にアークリアクターを生成しました。
プロジェクト・ペガサスの最初の段階となることを目的としたアークリアクターは、息子であるトニ・スタークによって小型化され、現在はアイアンマンのスーツに動力を供給するために使用されていますが、それまでは使い道がないままでした。
エンドクレジットの謎 ※ネタバレ注意
ニック・フューリーとトニー・スタークの初対面
記者会見の後、S.H.I.E.L.D.S.の長官ニック・フューリーはスタークの自宅を訪れ、アイアンマンは「世界で唯一のスーパーヒーロー」ではないと述べ、アベンジャーズ始動計画(イニシアティブ)について話し合いたいとスタークに言いました。これが、スタークとフューリーの初めての対面であり、まだアベンジャーズが結成されてもいません。
アイアンマンは、アベンジャーズ初期メンバーの中でも、最も早くメンバーに声が掛かったヒーローであることが、このエンドクレジットより分かります。