MCU(マーベルシネマティックユニバース)が始まってから10年以上が経ち、ブラックウィドウがアイアンマン2に初めて登場して以来、彼女のソロ映画を観たいと思っていたファンの方も多かったのではないでしょうか。
そんな待望のスカーレット・ヨハンソン演じる映画『ブラックウィドウ』は、2021年の7月9日に公開されました。本当は2020年に公開される予定でしたが、コロナウイルスの影響で何度も延期となってしまいました。
映画『ブラック・ウィドウ』の鑑賞を終えてみて、この作品は我々にフェーズ4の開始を意味する作品となったと感じました。それと同時にブラックウィドウは今も生きているのか?、エンドクレジットの意味は?など疑問点も多くあると思いますので、それらについて徹底解説していきたいと思います。
映画「ブラック・ウィドウ」解説 ※ネタバレ注意
ストーリー概要
物語は1995年のナターシャが11歳の頃
1995年、アメリカのオハイオ州。ロシアの覆面捜査官でスーパーソルジャーの偽父:アレクセイ・ショスタコフ、偽母:メリーナ・ボストコフ/ブラックウィドウが、代理娘のナターシャ・ロマノフと妹のエレーナ・ベロバと共にオハイオ州の普通の家族を装うシーンから物語は始まります。そう、ナターシャ・ロマノフは幼くして誘拐されロシアのエージェントとして育てられました。
S.H.I.E.L.D.のインテルを盗む任務が完了すると、家族は逃げるように隠していた飛行機でキューバへと逃げ込みます。そして、キューバに戻った瞬間、3年間演じてきた偽装家族は崩壊しました。
時は流れ2016年 シビル・ウォーの直後
時は流れ2016年、ナターシャはソコビア合意に違反したとして、米国務長官サディアス・ロスから指名手配を受け逃亡生活を続けています。そして、ナターシャはノルウェーのセーフハウスで隠居生活を送ります。
一方その頃、生き別れた妹のエレーナはエージェントを続けていました。しかし、レッドダストと呼ばれる物質と接触したことで、自身がドレイコフに洗脳されていたことを自覚し、洗脳が完全に解けました。洗脳が解けた彼女は、他の同胞も洗脳から解放したいと思い、それをナターシャが手伝ってくれることを期待して、レッドダストを送りました。
ナターシャがレッドダストを受け取った後、彼女はタスクマスターと呼ばれるヴィランに襲われます。ナターシャは戦闘を交えながらも、なんとかタスクマスターを回避し、ダストがエレーナから送られてきたことを知ります。
ブダペストでの再会
ナターシャとエレーナの2人はハンガリーのブダペストで再会しますが、その後、複数の女スパイ集団ブラック・ウィドウに襲われます。そして、ナターシャは、実はドレイコフがまだ生きていて、レッドルームがまだ稼働している状態であることを知ります。ロマノフとエレーナは、ドレイコフの居場所を知るために偽父であったショスタコフを刑務所から脱獄させました。
偽装家族全員での再開と共闘
ショスタコフを解放後、ナターシャとエレーナは、偽母:ボストコフがロシアの農場に住んでいることを聞き、そのまま3人で向かいました。と話すように言いました。そして、21年ぶりに再会した家族4人はレッドルームの所在地や、ドレイコフの住処を特定し、レッドルームを壊滅するために、共闘していきます。
ストーリーに出てきたいくつかの謎
ナターシャがブラック・ウィドウになった経緯
映画『ブラック・ウィドウ』ではついに、ナターシャ・ロマノフがなぜブラックウィドウになったのかといった経緯を明らかにします。また、この映画では彼女がレッドルーム史上、最高の卒業生である理由も併せて示唆しています。
ナターシャの出生記録
ナタリア・アリアノフナ・ロマノフは、ロシアのスターリングラードで1984年12月3日に生まれました。彼女は乳児の頃から、遺伝的可能性を持っているとレッドルームによって発見され、実の家族から購入されました。しかし、ロマノフの母親は同意していませんでした。そして、ナターシャの母親は娘をドレイコフから取り返そうと執拗に追いかけましたが、ドレイコフに処刑されていました。
S.H.I.E.L.D.への加入 ブタペスト試験
ナターシャがレッドルームに在籍中、彼女の専門知識や世界安全保障に対する脅威の高まりを受け、彼女はすぐにS.H.I.E.L.D.の捜査線上に現れました。そして、ニック・フューリーはクリント・バートンを送りこみ、ナターシャを排除するよう命令しました。
しかし、バートンはこの命令に背き、ナターシャのスキルや善の心を持ち合わせているとして、むしろ逆にS.H.I.E.L.D.への採用をお願いしました。
このブタペストでの一連の流れですが、映画『アベンジャーズ』(2012)でチタウリ軍団との交戦中に、ナターシャがバートンに対し「ブタペストを思い出す」と会話します。それに対し、バートンは「お前とは思い出が違う」と返答していますが、バートンは命令に背いたりしたので、良い思い出ではなかったのかもしれないですね。
ドレイコフの娘を暗殺し合格
S.H.I.E.L.D.に加入するために、彼女はブタペストでドレイコフを暗殺する任務を命じられました。そして、ナターシャとバートンはドレイコフがいる建物に爆弾を仕掛け包囲しました。しかし、ナターシャはドレイコフの娘のアントニアが建物の中にいることを発見し、作戦を中止しようとしました。ただし、爆発の命令に背けず、ドレイコフとその娘ごと爆破に巻き込んでしまいました。
この任務は後のナターシャの人生でずっと悩ませることになるのですが、彼女は任務を完了し、ロシアから亡命したナターシャは、正式にS.H.I.E.L.D.に加入しました。
ナターシャの父、レッド・ガーディアンとは?
ナターシャの偽父であるアレクセイ・ショスタコフは、「ソビエト連邦の最初で唯一のスーパーソルジャー。私はキャプテン・アメリカよりも有名だった」と劇中で語っています。
彼はレッドガーディアンとしても知られ、実際に最初のスーパーソルジャーになります。ソビエト連邦の軍隊としてキャリアを築いていましたが、その間に、ショスタコフはレッドルームのリーダーであるドレイコフ将軍の同盟国として迎え入れられました。そして、1992年のソ連崩壊後、彼はアメリカのオハイオ州に潜入し、アメリカ人家族を装います。1995年に研究所を破壊した後、ショスタコフは帰国しましたが、最終的にはロシア政府を批判したとして第7サークル刑務所でドレイコフによって投獄されました。
キャプテン・アメリカとの戦闘はあった?
劇中で彼は何度も、キャプテン・アメリカをライバル視しているような発言が見られました。結論から申し上げますと、レッドガーディアンはキャプテン・アメリカとの接点は一切ありません。レッドガーディアンは、ソビエトで最初で唯一のスーパーソルジャーであると誇らしげに宣言しているため、ソビエト連邦に対する強い愛国心と国民としての誇りを持っています。しかし、スティーブ・ロジャースはショスタコフの存在そのものも知りませんでした。ショスタコフは、レッドガーディアンとしての名声を誇示しながら、刑務所に投獄され、彼の鬱病が激化するにつれてキャプテン・アメリカとのありもしない戦いについて、妄想を語りだすまでになったのです。
タスクマスター(ヴィラン)とは?
タスクマスターの映画でのコスチュームは、コミック版同様、ネイビー&オレンジでホワイトマントを身に付けています。タスクマスターは頭蓋骨のようなマスクを着け剣、盾、弓を武器に戦います。
アベンジャーズ5名のスキルを習得
タスクマスターは、対戦相手のスキルを即座に習得する超能力を持っており、実際の敵を観なくても映像だけでも習得できる最強のヴィランです。
そして、この映画ではタスクマスターがブラックウィドウ、キャプテンアメリカ、ウィンターソルジャー、ホークアイ、ブラックパンサーの武道を習得していることが分かります。
タスクマスターの正体
ナターシャは、ブダペストでのドレイコフ将軍を暗殺任務の際、ドレイコフの娘、アントニアも爆破により巻き添えにしております。しかし、映画『ブラックウィドウ』の終盤で、ドレイコフは娘のアントニアが生き残っていたことを明らかにし、さらにはドレイコフがをレッドルームプログラムを強制し、彼女に他人の動きとテクニックをコピーする能力を与えたと言うのです。ドレイコフは彼女の意志に反し、最強のな暗殺者に変貌させたのです。
タスクマスターのその後
映画『ブラックウィドウ』の終わりで、最終的にタスクマスターは生き残ることが分かりますが、その後どうなったのかは不明です。彼女はナターシャに対する復讐心を消し去り、残りのブラックウィドウズと合流しました。彼女が今後のマーベル映画またはテレビシリーズで再び戻ってくるかどうか期待がかかります。
エンドクレジットの謎 ※ネタバレ注意
エレーナと会っていた女性は?
エンドクレジットはアベンジャーズ/エンドゲーム後のナターシャの死後の話です。エレーナがナターシャの墓でお参りをしていると、そこにある一人の女性が現れます。彼女の名はヴァレンティ―ナと呼ばれで通称ヴァルです。
ヴァルはエレーナの横に立ち、彼女にタブレットを渡しました。そして、ヴァルはナターシャを殺した本当の犯人は、そこに映っているクリント・バートンであると伝え、我々の次の標的であると伝えました。
ファルコン&ウィンターソルジャーでも登場
ブラック・ウィドウで登場したヴァルですが、実はディズニープラスで放映されているTVシリーズの『ファルコン&ウィンターソルジャー』でも登場しております。
キャプテン・アメリカの後継者として起用されたジョン・ウォーカーが、友人を殺されたことに怒りを立て、大衆の前でその犯人を始末しました。そして、ジョン・ウォーカーはその事件をきっかけにキャプテン・アメリカの後継者として相応しくないとして、軍事階級やキャプテンアメリカの肩書を全て剥奪されました。ちょうどその直後に、消沈しているウォーカーの下にヴァルが現れたのです。
ジョン・ウォーカーは、その後キャプテン・アメリカのスーツを脱ぎ捨て、新しいスーツを着用しました。そして、ヴァルはウォーカーに対して、世界は変化していることと、もう世の中の人々はキャプテン・アメリカを必要としていないことを伝えました。その上で、彼に対して『エージェント・アメリカ』という新しい名前を授けたのです。
ヴァルの目的はリクルート?
今のところ情報の少ないヴァルですが、恐らく彼女の目的はリクルーティング活動だと思われます。べロバにしろ、ジョン・ウォーカーにしろ、アベンジャーズに対し何かしらの感情を抱いている者達に声を掛けて回っています。
ヴァルはバートンやキャプテン・アメリカを批判していることから、アベンジャーズに対して良くは思っていないことが伺えます。そして、そういったもの達に今後も声を掛けて回ってリクルート活動を続けていくと思われます。現段階では彼女の真の目的は不明ですが、今後はヴァルについても注目していく必要があります。
・彼女の目的はリクルーティング活動
・アベンジャーズに反抗精神のある者達を集めて周っている
ブラック・ウィドウは生きている?
ブラック・ウィドウ生存説
皆さん、ご存知の通り『アベンジャーズ/エンドゲーム』にて、ブラック・ウィドウはソウルストーンを入手するために、惑星ヴォルミールの崖から飛び降り帰らぬ人となりました。ブルース・バナーがガントレットを使用して指パッチンを行い、5年前に亡くなった世界の生命の半分の命を取り戻すことに成功しましたが、ナターシャについては復活させることはできませんでした。最後のアッセンブルのシーンでのブラック・ウィドウはおらず、多くのファンにショックを受けたのではないでしょうか。
エレーナに引き継がれた可能性が高い
ナターシャの生存説については断言はできませんが、ブラック・ウィドウという役柄は彼女の妹のエレーナ・べロバに引き継がれた可能性が高いでしょう。というのも2020年12月に、エレーナというキャラクターがディズニープラスで公開予定の『ホークアイ』でデビューすることが明らかにされました。そして、映画『ブラック・ウィドウ』のエンドクレジットを見る限り、ナターシャを犠牲に生きているバートンの罪を認識させるため、クリント・バートンを追い詰めていくだろうと推測されています。
シャン・チーとケイティやエレーナ、ジョン・ウォーカーなど、まだまだフェーズ4突入段階ですが、続々と新キャラクターが登場しており、今後も彼らに注目していく必要があります。
スカーレット・ヨハンソンの出演は今後NG?
ナターシャがMCUシリーズに復活するのか以前に、ナターシャ演じるスカーレット・ヨハンソンが今後は出演NGとなる可能性があります。その理由として、2021年7月に本作に主演したスカーレット・ヨハンソンがDisney+での同時配信により、巨額の損失を被ったとして、ウォルト・ディズニー・カンパニーを相手取って、カリフォルニア州の上級裁判所に提訴したからです。
ディズニーを相手取った訴訟問題
Disney+ではプレミアムアクセス料金(税込3,278円)を追加で支払うことで、映画館で上映している作品をオンデマンドでも視聴可能にしたのです。そのため、スカーレット・ヨハンソンはそれによって映画館での興行収入が減り、巨額の損失が発生したと言っているのです。
でも、ちょっと待ってください。ディズニー側は映画の興行収入だけでなく、このプレミアムアクセスでも出演料はしっかり支払うと述べています。つまり、私達が3278円も払わなければならないのであれば、映画館で観るよりも圧倒的に料金が高いので収益は大きいと思いませんか?もちろん、家族や友人と観る人が多ければ、収益ダウンには繋がってしまうかもしれないですが。
7月末に訴訟したばかりですので、まだ進展はありませんが、恐らく和解で終わるのではと予想しております。ただ、こんな事件が起きてしまったからには、スカーレット・ヨハンソンの今後のMCUシリーズの出演はかなり厳しくなってくるのではと予想されます。そういった意味でも、ブラック・ウィドウは戻ってこないのではと思われます。
感想とまとめ
いかがでしたでしょうか?
映画『ブラック・ウィドウ』はエンドゲーム後の初のMCU映画として公開されました。本作品は過去のMCU作品を繋ぐ役割、そしてフェーズ4という未来の始まりを感じさせる作品となっております。アイアンマン2から登場した、ナターシャの恐らく最後の出演作品だと思われますので、是非そういった視点も持ちながら、鑑賞して頂ければと思います。